『新参者』加賀恭一郎シリーズ完結編
東野圭吾原作 加賀恭一郎 シリーズ完結編となりました。
警視庁捜査1課日本橋署の刑事 加賀恭一郎(阿部寛)の物語。
これまで、父との確執の原因であった母の謎
加賀の母、加賀自身と過去が大きく結びつく事件、
何故、加賀が日本橋にずっといるのか?
加賀の母親は?
といった今まで描かれなかった部分が描かれます。
これまでの東野圭吾原作による加賀恭一郎シリーズ
映像化一覧
地上波TBS連続ドラマ 『新参者』
スペシャルドラマ 『赤い指』
劇場版 『麒麟の翼』
スペシャルドラマ 『眠りの森』
『祈りの幕が下りる時』
ストーリー
加賀恭一郎(阿部寛)の母がどんな生活をしてどんな人物であったかを当時の同僚である女性から聞いた加賀。
過去の加賀恭一郎が母親の遺品を受け取っている。
現在の描写に移り、
小菅のアパートで滋賀県在住の40代女性の腐乱した絞殺死体が発見される。
殺害現場のアパートの住人は、越川睦夫と名乗る男性で、越川は消息を絶っていた。
そして、近くで起きていた焼死体事件。
ここから物語は、始まっていく。
事件日付近に被害女性と会っていた浅居博美(松嶋菜々子)
捜査は、警視庁管轄で加賀の従兄弟である松宮(溝端淳平)の視点から進められていくが難攻を極める。
しかし、加賀の助言から捜査は、進展を見せ
加賀の母の遺品と事件現場の証拠品に共通点が見つかり、加賀も捜査へと加わっていく。
そして、加賀と浅居博美には、接点があった。
徐々に明らかになっていく、浅居博美の壮絶な人生と親子の物語。
繋がっていく加賀恭一郎の母との関係。
加賀は、この事件を解決することによって、追い続けた母の人生と自分への思いを知る事になるのであった。
加賀恭一郎と浅居博美の親と子の思いの映画だった。
感想
序盤の登場人物の多さと人間関係の複雑さにストーリーを追うのが、難しかったが
最後は、一気に過去の回想シーンで事件の経緯や真相を見せた。
過去シーンでも小日向文世さん、桜田ひよりさんの演技も迫真の演技で入り込めた。
一度ではなく2度3度と全てを分かってから、浅居博美の視点から物語を見たいと思いました。
初めての犯行も、父を思い起こした行動に、浅井親子の弱みに付け込んだ、相手への犯行
父の犯行も、夢に向かう娘のため
最後は、ずっと身を潜め生きた父のもう疲れたと言う言葉と。
自分の犯してしまった罪のせいで、そんな生活をさせてしまった父へ、
過去の、そんな死に方はしたくないという父に対するせめてもの優しさ償いのような悲しい犯行だった。
白夜行の桐原亮司と西本雪穂を
親と子の関係性にしたような物語にも見える。
相手のために影となって相手の夢のために支え、
自分の存在のせいで夢の妨げにならないために犯行を重ねてしまう。
加賀恭一郎と浅居博美、同じように母が失踪し育った境遇だが、
加賀母子は、恭一郎を思って離れざるを得なかったが、離れた後もお互いに想い合っているが、
浅居博美母子は、母の身勝手で離れ、子から逃げ続け、子は、母を恨み続けた。
子供への思いは、まるで別物だった。
浅井父子の思い合うが故の犯行は悲しいものだった。
加賀は、母の境遇や自分への思いが分かり父隆正との誤解や、すれ違いも解けていくのであった。
俳優陣の演技は素晴らしく、阿部寛による加賀恭一郎シリーズは好きな作品だったので完結してしまうのは寂しいですが。
親子の愛
そして、
『人はなぜ嘘をつくのか』
嘘には三種類ある。
自分を守るための嘘、
他人を欺くための嘘、
他人を庇う嘘。
この他人をかばう嘘、相手を思いやる気持ちに感動します。
加賀恭一郎シリーズ全てに言えることは、加賀が解決しているのは、事件に関わった人達の悩みや苦悩、複雑に絡んだ思い、過ちを解決しその人達の心を救い、前に向かせているところにあると思います。